教育のIT化は奈良から始まる
少し前に奈良市から「GSuite for Education」の導入が発表されていましたが、県内の国公立校すべてで導入されることが発表されました。
奈良県教委、県内すべての国公立学校で同一ドメインによるG Suite for Educationを導入
しかも全校同一ドメインです。県内のすべての市町村、すべての学校がひとつのドメインで運用されるということ、これはかなり画期的です。
ドメインってなに?という方について説明すると、みなさんが使っているメールアドレスの@から右側の部分、you@example.com の”example.com”の部分です。一般的には学校や地域によって異なるドメインを使っていることが多いのですが、奈良県下で見てみると市町村ごとにそれぞれのドメインでwebサイトが運営されています。大和郡山市に至っては地域ドメインですらないですけど。
同一ドメインで運用するメリット
で、これらが同一ドメインで運用されることには大きく2つの意味があると考えられます。ひとつはGSuiteの管理コストの低減。
GSuiteの運用をしたことがある方ならわかると思いますが、GSuiteにはかなりたくさんの設定があります。普段無料のGoogleアカウント(いわゆるGmailアドレス)を使っているだけだと気づかないですが、たとえば自分のアイコンを変えられるようにするかどうかというレベルで設定項目があります。
GSuiteの導入はドメイン単位なので、もし各学校、各地域ごとに導入するとそれぞれ設定や管理が必要になります。コスト的なことはもちろん、それができる人を確保するのも大変。しかし、県下同一ドメインになると管理も一本化できるのでここを大幅に削減できます。
もうひとつのメリットは、すべての先生や生徒(児童)に一意のアカウントを割り当てることができ、アカウントが(県内に限って)ポータブルになるということ。
小学生が県内の公立中学校に進学した場合、小学校で貰ったアカウントを中学校でも使えるのです。これも県内同一ドメインだからできることです。
この点については、考え方としては可能だけど実際そうるかどうかは別の話なのでFacebookに投稿してみたところ、内部の事情に詳しい方から「県内ポータブル」であることを教えていただきました。
ここが一番すごい。子どもたちが進学しても、転校しても、先生が転任しても(それが奈良県内であれば)今までのアカウントを引き継ぐことができるのです。これらのアカウントに紐付けてどのような情報が管理されるのかによっては、色んな活用方法が考えられますよね。自分もいくつか考えてみましたが、あまりにもチープなので書くのは控えておきます笑。
学校や地方自治体、枠組みを超えて何かをやるのが難しい領域でこれを実現したということは、きっと今までにない取り組みが考えられていることと思います。そうでなければ、ここまでやる意味ないですからね。
奈良ってITとかの縁が遠いイメージを持たれていると思うのですが(きっとみんな、鹿と大仏のイメージしかないだろうし、柿を食べれば法隆寺の鐘がなるぐらいにしか思ってないでしょう?)奈良でこれだけの仕組みが実現された(もちろん日本初)のは全国的に衝撃だと思うのです(奈良に住んでる私でさえ衝撃です)。
奈良には、こういうことのできる方がいらっしゃるとは聞いていましたが、ここまでやってしまうとは本当にすごい。これからの展開に期待しかなくて、ひとりで盛り上がって、この記事書きました。
これ、国レベルでやったらいいのにとも思うけど、国単位でGoogleにコミットするのは難しいのかもな。だからといって、国で独自のシステムを作ったらいいとは思わないけど笑。
※何人かの方から反応をいただいたので追記すると、本当にすごいのはこの記事に書いてある先「自分もいくつか考えてみましたが、あまりにもチープなので書くのは控えておきます」と書いた部分です。この記事に書いてあることは、システム設計をやったことがある人なら誰にでもわかること。校務でどう活用するかが一番すごいところになります。でも、私は校務を知らないのでそこはボカしたのです。 ;)