リモート授業はITのみにあらず

今日、とある学校の先生とメッセージでやりとりしていました。その先生もオンラインツールを使った教室・授業の研究を個人でずっとやっておられて、自分で色んなツールを使いながらどんなやり方があるのか、どんなやり方がいいのかを独自に研究しておられます。

自分が見ていていいなと思うのは、その方がひとつのツールにこだわっていないところなんですよね。zoomでやりにくければ、YouTubeの動画配信でやってみる。そんな柔軟さを持った方です。

先日こちらの記事にも書きましたが「オンライン授業」ということで「オンラインツールを使ったリアルタイムの対面式授業」だけじゃなくて、「非リアルタイム」であったり、オフラインの取組も取り入れながらそれらをどのようにバランスを取っていくかがとても大切だと思います。

ただ「オンラインツールを使ったリアルタイムの対面式授業」をイメージしている方が、保護者にも多いように感じます。テレビの街頭インタビューなどで「オンライン授業を早く始めてほしい」と答えている保護者の方の頭の中でイメージされているのは、まさしく「オンラインツールを使ったリアルタイムの対面式授業」ではないかと。

そういう保護者の頭の中には「先生の前でないと子どもが勉強しない」と思っているのかもしれません。でも、残念ながら先生は子ども達の見張り役ではないのです。

保護者の意識改革

この保護者の誤った認識を正さなければ、先生も子ども達も疲弊してしまうでしょう。今までは学校の教室という保護者の目の届かないところでしたが、自宅で受けるリモート授業に変われば保護者の目にも届きやすくなります。

その時に「対面授業」の時間が短いと「根拠のない不安」を持ち始めた保護者が「もっとちゃんと教えてくれ」と学校や先生にクレームをつけ始めないかが心配です。おそらく一定数はそういったことが起こるでしょう。

ちょっと矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、この保護者の意識を変えるには先生の行動が変わらなければなりません。いえ、先生にすべての責任を押し付けようというのではないのですよ。

先生が「これからの時代は、こういう学び方になっていくんですよ」ということを見せて、保護者がそれを受け入れる、このコミュニケーションが必要という意味です。多くの保護者はなかなかそれを受け入れられないかもしれません、というか理解できないでしょうね。なので、それを理解できる保護者が率先して受け入れて、大きな流れを作ることが必要だと思います。

これは時間がかかるかもしれません。だからといって、拙速に対面授業一辺倒に走ったらダメです。変化には痛みが伴うけれど、今は痛みが先にやってきているので、この痛みを耐えて終わりじゃもったいない。痛みを負った分、これから先に繋がる変化を作らなければ。だから、zoomの対面授業を頑張りすぎず、他の2つの方法をどう組み合わせていくかをよく考えなければ。

紙のドリルがなくなるわけじゃない

リモート授業、オンライン授業といってもすべてがオンラインでやりとりになるわけではありません。紙でやること、紙でしかできないこともあります。そういったものについては、市販のドリルを使うこともあるでしょう。

というと「タブレットとペンがあれば漢字の書取りもできるし紙はいらないですよ」という人が出てくるかもしれませんが、僕は必ずしもそうは思わないです。既存のドリルを使った方が効率がいい場合もあるでしょうし、それを子ども達に届ける方法として、郵送や宅配便を使うこともあるでしょう。

データで送って各家庭でダウンロードして印刷すればいいと思ってるあなた、自宅でのプリントって結構コスト負担高いですよ、金銭的にも時間的にも。ダウンロードして印刷しようと思ったら、プリンタインク切れ!今注文しても届くの明後日!とかなりますからね。

ITは道具のひとつでしかない、全体俯瞰を

ITなんてただの道具のひとつです。紙と鉛筆ではできないことが、ITにはできるけど、その逆もまたあります。オンライン一辺倒、IT神!って思想になったら危険です。ずっとIT化を押してた先生にとっては、俺の時代きた!って感じかもしれませんが、そこは一回深呼吸した方が良さそうです。

銀の弾丸という言葉がありますが、zoomはリモート授業の銀の弾丸ではありません。どこにどんなツールを使うのがいいか、常に全体を見渡しながら考えて行きましょう。