子どもたちとルールを作る

先日、以下のような相談というか声かけをいただきました。

子どもたちと一緒に活動をする時に、どんな対話をしていくとより良いルールメイキングができるのだろうと考えています。わかさんが子どもたちと関わる時、どんな声がけや対話をされているのか聞かせてもらえませんか?

その時はあまりまとまった答えができなかったのですが、その後普段自分たちがやっていることを思い返してまとまったことをあらためて記事としてシェアします。

子どもたちとルールを作る3つのポイント

子どもたちとルールを作る上で、自分が考え行動していることが3つのポイントにまとめることができました。

あるべき姿を考える

まず、あるべき姿を考えます。自分たちの場や行動がどうあるべきか、大きな目標を考えて共有します。

たとえば、CoderDojoコミュニティにはただひとつのルールとして”Be Cool”があります。このルールには、具体的な行動としてどのようにしろということは書かれていませんが、自分たちの行動がどのようにあるべきかを考えるきっかけとなっています。

私は”Be Cool”を「カッコよくなろう、カッコいいことをしよう」と解釈しています。まずはこの大きな目標を共有しているのです。

具体的な行動を考える

次に、その目標を達成するために具体的にどのような行動を取るべきかを各自で考えます。

先にあげた”Be Cool”を例にとれば、どうすれば自分たちが”Cool”でいられるかを自分自身で考え具体的に行動することで、その意味を深く理解し、主体的に行動できるようになります。

たとえば「友達が困っていたら助ける」「みんなが使うものは丁寧に扱う」などの具体的な行動がでてくるでしょう。

それらは人によって違うものがでてくるかもしれませんし、書き出したら完成するものでもありません。状況によってとるべき行動は変わるはず。なので、書き出して掲げみんなで共有するものでもないと考えます。

大切なのは、あるべき姿を考えた時に具体的にどのように行動するべきかを各自で考えイメージすることです。

自分が感じたことをシェアする

子どもたちが正しいことをしたと感じた時、つい褒めてしまいがちです。そして自分の意に沿わない行動をしたときには叱ってしまうことがあるかもしれません。しかし、それらは子どもたちの主体的に行動しようという意欲を削ぐことになりかねないことに気づいてください。

褒められればそれが報酬となり次も褒められるように行動しようとします、叱られれば大人が決めたルールに従うことを求められるのだなと感じてしまい、ルールに対する主体性を失いかねません。

私たちがすべきことは、自分がどう感じたかをシェアすることです。自分がCoolだと思ったか思わなかったか、そして子どもたちがどう思ったのかをシェアしあいましょう。あくまでも主語は「私」です「私はこう思った」であって「あなたはこうすべきだ」ではありません。

子どもたち自身がどうあるべきかを考え、行動を決めることによってのみ主体性は実現されます。

最後に

この記事を読んで「そんなのはキレイごとだ、子どもたちは自分たちの都合よく解釈する。大人が決めたルールに従わせなければ大変なことになる、現場のリアルをわかってない」と思う方もいるかもしれません。

もちろん、この記事には書かれていないもっと複雑な問題があることは承知しています。ここで述べているのはあくまでも子どもたちが主体的に行動するために私がどのように考えているかであって、その時の状況に応じてはもっと多くの考慮すべき点や工夫するべきことはあります。

しかし、それは私たちの役割であって、そこを面倒だからといって大人が決めたルールを押し付けたところで何の解決にもならない、それは大人の手抜きでしかない。私たちにできることは自分の考えをシェアし、ただ待つことだけ。

子どもたちの主体性を大切にしている、このことを体現していくことで子どもたちとの信頼関係を築いているいけると信じています。

それはルールを作るというよりもコミュニティの中の文化を作っているという方が適切かもしれませんね。

ちなみに、この記事ではあえて主語を「子ども」や「子どもたち」と書いていますが、この部分を他の主語に読み替えても同じことが言えることに気づいてもらえれば嬉しいです。