10年以上前、任天堂はテレビを作ってくるに違いないと思ってた
10年以上前、任天堂はテレビを作ってくるに違いないと思ってた話
Switch2 の発売が来週に迫ってきましたね、SNSの私のタイムラインでもやったーとがっかりの両方が流れてきます。ちなみに、私は任天堂の抽選で2回外れてます。
私は任天堂のものづくりのフィロソフィー、ユーザーや自社のブランドを大切にする姿勢、ものづくりに対するこだわりが大好きで、私が好きなAppleにも通じるものがあり、日本でAppleに対抗できる唯一の企業だと思っています。
機能的にもデザイン的にも対称性と非対称性を兼ね備えたジョイコンとか惚れ惚れします。
そんな任天堂が近い将来、テレビを作ってくるのではないかと考えていたことがあります。まだテレビがメディアの王様であり、徐々にその地位を失い始めるころの話です。
テレビというプラットフォームの中でテレビゲームというのは、どうしても放送コンテンツの一つ後ろにしか位置付けられませんでした。テレビの電源を入れただけで映る放送に対して、ゲーム機の電源を入れテレビの電源を入れて入力切り替えしなければ到達できないテレビゲームは、どうしても放送よりも遠い位置にありました。
テレビの世界をF1にたとえるなら、テレビゲームは2列目スタート。1列目に到達するのは難しく、ポールポジションなんて夢のまた夢、ゲーム機メーカーにはそう見えていたと思います。
それを覆そうとしてきたと感じたのは、WiiとWiiチャンネルが出てきた時です。
Wiiチャンネルの開発コンセプトは「家庭のテレビにチャンネルを増やす」というもので、テレビ放送のデジタル化やインターネットの普及による多チャンネル化が言われ始めた頃と重なっていたと記憶しています。
ちなみに、地上デジタル放送の開始が2003年12月、Wiiの発売が2006年11月、アナログ放送の終了(停波)が2011年7月という流れです。
Wiiチャンネルを使ったことがある方はわかりますが、ゲーム機のメニュー画面の中にゲームはもちろん、写真やストリーミングメディア、途中からは番組表(EPG)でテレビ番組を検索できるようにもなり、より放送との親和性も高くなりました。Wiiチャンネルから入力切り替えで放送に行く、今までと逆の流れです。
つまり、任天堂はテレビのフロントエンド(ユーザーインターフェース)を奪いにきた、ポールポジション取りに来たわけです。
これはすごい。いいぞ任天堂、もっとやれ!と思ってました笑。
私も2009年に当時居た流通系事業の部署から、全社横断の事業開発部門に移り、テレビにも多少関わるようになって、「任天堂はテレビを作ってくるのではないか」と考えるようになりました。といっても、ファミコン時代からテレビ一体型の製品はあったので、その考え方自体は新しいものではなかったのですが、単にテレビとゲーム機を合体させただけではなくもっと連携の深いものを作ってくるのではないかと。
当時テレビはまだ花形商品で、シャープの売上の柱でもありました。シャープだけじゃなく、Panasonic、Sony、東芝などがテレビCMを流すぐらいの勢いがあったころです。そこに任天堂が独自の強みを持って参入してきてもおかしくないなと。
とはいえいきなり新しいハードウェア事業に手を出すのはリスクが高いので、まずは従来の形のままよりテレビとの距離を(物理的にも)詰めて、一定の認知と実績を作ってからの参入にした方がいいかもしれない。他人事ながら、私の妄想は膨らみます大笑。
既存のテレビメーカーと共同して、テレビの裏側にSTBをセットするポケットを作る。それは物理的にも電気的にもソフトウェア的にも業界標準となる規格になるものにして、どのメーカーのSTBも接続できる。そこに接続された機器のコンテンツは、テレビの画面(ユーザーインターフェース)から操作できる、そんな風になったらいいな。
それを任天堂と一緒に作れるテレビメーカーがあるとすれば、シャープしかない!とまで思ってました。なにしろ、シャープは任天堂への液晶パネルの供給元でもありましたからね。
それで思い出した、液晶の営業の人が任天堂のサイトを見ようと思ったら「業務に関係ないサイト」としてブロックされいたという話を思い出しました。めっちゃお得意先やのにね大笑。
まぁ、結局その流れにはなりませんでした。デジタル放送で需要を先食いした上、グリーンフロント堺という負の遺産を抱え込んだシャープはその後経営危機を迎えそれどころではなかったでしょうし。
グランフロント大阪とか、グラングリーン大阪という名前にトラウマを感じるシャープ社員は多いと思います笑
業界的にもテレビは花形商品ではなくなり、配信コンテンツの普及によって放送の位置付けが下がり、それに伴ってテレビゲームの位置付けも上がってきたように感じています。ポールポジションとは言わないまでも、それぞれが一列目スタートになったのではないかなと。
今の状況で任天堂があえてテレビ事業に参入することはないt思いますが、当時は「任天堂がテレビを作ってくる」と確信していましたね笑。本当に時代は変わりましたね。
任天堂の話で「Switchの登場を予想してました」とう後出しジャンケンみたいな話もあるのですが、それはまた別の機会に。