ミライノテレビ

毎年この時期にアメリカで開催される世界最大の家電ショー「CES」での発表内容に注目しているのですが、今年はスマートフォンに採用されているOSがテレビにも搭載されることが大きなトピックなひとつだったようです。 CESから見えた「モダンOS」による第2世代デジタルテレビ

一方で、2010年にGoogleのプラットフォームを搭載し鳴り物入りで登場した”Google TV”が、ビジネス的には成功しなかったことは記憶に新しいところですので、このタイミングで「モダンOS 」搭載とだけ言われてもワクワクしないというのが正直なところ。 「スマートフォンと同じOSを搭載します」だけでなく、どんな新しい体験が得られるのか?を早く見せて欲しいなと思います。 そして、それらがどのような形で販売されるのか?ということにも高い関心を持っているのですが、結論としては「モダンOS」を搭載したテレビは画面とテレビ番組を受信して表示する本体機能を別製品として販売し、画面だけとか本体機能だけを買い替えられるようにすべきと考えています。

画面側には番組を受信する機能がなく、番組を受信するための本体機能が別になっているもので、現在販売されている商品に例えれば、HDMI入力に対応したPC用モニターにApple TVのような「セットトップボックス」を接続する形です。 パソコンやスマートフォンの世界で、2〜3年経つと新しい機能がサポートされなくなったり、数年でセキュリティ対応の対象外となることを考えると「モダンOS搭載テレビ」もその周期で買い替えが必要になると考えられます。 しかし、大型のテレビをその周期で買い換えるのは、コストの観点からも資源利用の観点からも「無駄」が生じますので、本体部分だけを買い換えてバージョンアップできることは、未来のテレビにおいては必須だと考えています。 このようにすることで、サービス提供者も新しいサービスにどんどんチャレンジすることができ、テレビの世界の変革も次々と進んで行くことでしょう。

以前なら、液晶パネルを積極的に売りたいメーカーの思惑もあり、液晶画面と本体を分離し本体だけの買い替えを促進するというビジネスモデルは考えにくかったのです。 しかし、現代はサービスで儲ける時代。そろそろ標準的なテレビの形が変わってもいい頃だと思います。

本体と画面が別々になると、接続が面倒だったりリモコンがたくさんになって使いにくくなると考えられるかもしれませんが、現在でもテレビとハードディスクレコーダーなどはケーブル一本で接続可能ですし、テレビと外部の機器を連動させる仕組みも既にありますので、ひとつのリモコンでの操作が可能です。 むしろ、本体機能と画面が分離することを前提にして、異なるメーカー同士の機器でも連動できるような標準規格を作り、これを世界に発信していくことで次世代テレビの世界でのイニシアティブを獲得できるはず。 日本のメーカーには、この視点で世界に先んじて欲しいと思いますし、このあたりのアイデアの具体化には個人的にも挑戦していくつもりです。

photo credit: Anthony Quintano via photopin cc

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