情報共有は「ストック」と「フロー」で考える

情報の管理方法を考える時に役に立つ「ストック」と「フロー」について話してみます。

ビジネスで「ストック」とか「フロー」というと「ストック型ビジネス」「フロー型ビジネス」みたいな話が思い浮かぶかもしれませんが、ここから話すのは情報の管理方法に関するもので、ビジネスモデルの話ではありません。

情報の管理と流れ

私たちの仕事は、メール、資料・書類からFace to Faceの会話までかならず何らかの情報のやり取りで成り立っています。

クライアントとの商談、内部での打ち合わせ、出張から帰ったあとの出張報告、誰とも何の情報のやり取りも行わずに仕事が進んでいるということはないと言っても差し支えありません。

これらの情報をその管理方法の性質で分類すると「ストック」と「フロー」の2種類に分けられる、というわけです。

「ストック」で管理する情報は参照期間が長いもの「フロー」で管理する情報は参照期間が短いものになります。 何を「ストック」で管理し、何を「フロー」で管理するかを適切に使い分ければ、情報共有に関するストレスを圧倒的に減らすことができます。

ストックとフロー

「ストック」管理とは、キングファイル(パイプ式のファイル)やサーバー上の共有フォルダを使った管理をいいます、これらは誰もが知っている決まった場所にありいつでも参照できます。

「フロー」管理とは、チャットツールや会話でやり取りされる情報で、発信されたその時には見つけやすいですが、時間が経ってしまうとどこにあるのか分からなくなりますし、その後に更新されている可能性もあります。

たとえば、チャットや会話での情報のやり取りというのは、その場だけで終わってしまいますよね。 そこでやり取りされる情報は一連のやり取りが終わるとその場からは消えてしまいます、このような情報が「フロー」で管理する情報です。

一方、企画書、設計書、議事録のような資料や書類は管理されている場所を決めて、いつでも参照できるようにしておく情報が「ストック」で管理する情報です。

もし、チャットツールや会話でちょっと聞けば済むことを、いちいち書類を作って確認してもらうとなると、かなり面倒ですし時間のロスも大きい。 このように、やり取りする情報の内容や性質によって管理方法を使い分けなければ、時間も手間もかかってしまいます。

情報共有のあるある

「そんなことわかってるよ」と思われるかもしませんが、意外ときちんと使い分けられていないものです。

企画書の例でいうと、企画書のパワーポイントファイルをメールの添付でやり取りするなんていうのはよくありますよね。ファイル名が「〇〇企画書_ver1.pptx」とか「〇〇企画書_最終20200429.pptx」のようになってて、「どれが最新やねん!」という状態になるというのはオフィスの「あるある」のひとつだと思います。

しかし、企画書のファイルが共有サーバーにあり、またそれがバージョン管理システム(同じファイルの過去のバージョンにいつでも遡れるシステム)で管理されていれば、どれが最新かで悩むことはなくなるはずです。

フロー・ストック・フロー・ストック

このように情報共有を「ストック」と「フロー」に分類して考えて仕事のやり方を考えれば、情報共有にかかるコスト(人間が負う時間的や精神的に発生するもの)を大きく減らすことができます。

まずチャットツールや会話(フロー)で議論して、出てきたアイデアを資料(ストック)にまとめ、その資料を元に議論(フロー)されたものを資料(ストック)にまとめるというように、フローとストックのサイクルで考えれば日頃のコミュニケーションが円滑に進みます。

リモートワークで特に重要

新型コロナウイルス拡散拡大防止の取り組みで、にわかに広がっているリモートワークですが、リモートワークを導入・推進においてもこの「ストック」と「フロー」をきちんと考えることが重要です。これだけでもリモートワークのストレスは大きく減らせることとでしょう。

フローで情報を扱うためのツール

具体的にどんなツールがフローやストックに分類されるのかをみていきましょう。

フローで情報を扱うためのツール代表格といえばチャットツールで、以下のものが有名です。

また最近はやりのオンライン会議システムもフローのひとつと言えます。

ストックで情報を扱うためのツール

「ストック」で情報を管理するためのツールには、クラウドストレージサービスがあります。以下ののがよく知られていますね。

また、最近増えているチーム内情報共有ツールもあまり知られていませんが、議事録のような文字中心の情報共有には便利です。 例えていうなら、チーム内Wikipediaのようなものですね。今ネット上でよく見かけるのはNotionです。

クラウドストレージサービスはファイル単位で扱う大きなデータ(画像や映像)を扱うのに便利なのに対して、チーム内情報共有ツールは編集・閲覧・検索の速さが優れているのでこれらを組み合わせるとさらに便利になると思います。

ストックとフローを正しく使い分けてストレスのない情報共有を

というわけで、今回は情報共有における「ストック」と「フロー」についてお話してみました。

最近はメールの代わりにチャットツールを導入しているところも増えていると思いますが、チャットツールを使い始めるとなんでもチャットでやり取りするようになり欲しい情報がすぐに見つからない、という状況に陥りがち。

ストックとフローを使い分けて情報共有のストレスから解放されましょう。