ルールを支配する自由

私は、長らく大手電機メーカーに勤務し多くのルールの中で働いてきました。 大手企業の業績が低迷し、スタートアップ企業の成長が顕著になった昨今では、「ルールに縛られるのは悪いこと、もっと自由な風土が必要」といった論調が目立っているように思いますが、ここは誤解があってはならないところ。

多くのルールに縛られて仕事をしていると、融通が利かなくなることは確かです。私自身も、ルールに嫌気がさしたこともありました。 一方で、自分たちの仕事を進めやすくするためにルールを決めることもよくあります。組織で動いていくためには、なんらかの決め事がなければやりにくい、ということも事実なのです。では、ルールと自由はどのように使い分ければいいのでしょうか?

ルールは道具(ツール)

この点について、私の基本的な考え方は次の2つです。

「ルール」を組織で仕事をするための道具であると考えれば、その道具に縛られるのは無意味。自分たちがどんな道具を使って仕事するのかは自分で決めるべきです。

たとえば、あなたが仕事で出張したとします。 出張が終わって帰ってくれば、出張先で達成した内容を上司に報告しなければなりませんし、出張にかかった費用を清算しなければなりません。 もし、上司に「出張報告の様式は自由だし、清算も適当に書いて出してね。」と言われたら嬉しいでしょうか? 今なら、ネットで一般的な出張報告や清算のための様式を検索して見つけることはできるでしょうけれども、そのまま使えるものが見つかるとは思えませんし、多くの場合は自分で考えなければならないでしょう。

こういった「様式」も「ルール」のひとつであり、仕事をする上で必要な「フレームワーク」。実態に合っていないルールを改善していくことができなければ「縛られた感」を感じるでしょうし、それらを変えられる「自由さ」が必要ということなのだと考えています。 つまり、やはり「ルール」は必要で、「ルールをつかいこなしていく自由さ」こそが「ルール」と「自由」が両立できるポイントなのだと、私は考えています。

Liberty photo credit: Kyle Taylor, Dream It. Do It. via photopin cc