学ぶことの意味とロボットの研究(ざっくりまとめ)
8月31日に開催された、オープンテクノロジーセンター Robo&Peace オープニングセミナー『ICT教育による今後の日本教育の課題と可能性』こちらの中で、大阪大学の石黒先生の話を箇条書きではありますが、まとめてみました。
箇条書きなので文脈が分かりくい、100%網羅しているわけではない、微妙に違ってるかもしれないというのはご容赦。当たり前ですけど、現場で聴いた方が何万倍も価値があります。でも少しでも伝わればと思い、書き出してみます。
- 今日は教育がテーマ、教育は難しい。
- でも教育学部は偏差値が低い。法学部、医学部の方が偏差値は高い。
- 法学部、医学部はロボットに置き換えることができる。
- 教育には明確な基準がない、だから難しい。
- 偏差値はそのうち逆転する、教育学部の方が偏差値は高くなる。
- 技術は人間から遠いところから進化し、人間に近いところは遅く時間がかかる。
- 自動運転も車自体の制御は進んでるけど、人間がいかに快適でいられるか?については進んでない。
- これからどんな未来がやってくるかは誰も予測できない。未来は作るものである。
- 技術者が100人いれば100個の未来がある、それぞれの実現を目指していくことが大切。
- (人間がロボットと一緒に生活するスライドを表示して)僕はこんな未来が本気で来ると思ってる。
- 今は情報化社会と言われるけど、これからはロボット化社会が来る。
- 人にとってもっとも関わりやすいのは人、人に興味を持つことが必要。
- すべてのビジネスは対象が人である、だから誰しもが必ず人のことを考えながら仕事をしている、人を対象にせずに仕事をしている人なんていない。
- ただ、大学にはそういう人もいる。宇宙の起源とか研究してる人らは人のことは考えてない。あの人らは頭が○○しい。(一部自粛)
- エンジニアも哲学を学ぶことが必要。でも、哲学なんかは一番最初に削られる。
- 自分たちが研究で作ってるロボットは、ビジュアルプログラミングで制御してる、だから子供でも制御できる。
- 今、計画中のワークショップがあって、その中で子供達に家族や友人のロボットをプログラミングしてもらうことを考えてる。きっと面白いことになる。
- 小学校のプログラミングでは、ロボットをやった方がいい。
- (鉄棒の逆上がりをするロボットの動画を再生しながら)このロボットを大学生は動かすことができなかったけど、ヴイストン社の若いエンジニアはすぐに動かした。
- 教科書を見ても解けない問題はある、教科書を見なくても解ける問題は解ける。
- 先生ロボットを子供らに作らせたら勉強になる。先生ロボットを教育することで、子供達も学ぶ。誰かに何かを教える時に人は学ぶ。
- ロボットは英会話の勉強に向いてる。ロボット相手なら恥ずかしがらずに発音できる。ロボットの発音は正確で、人の発音を正確に聴き取り評価できる。
- 子供は学ぶモチベーションのある子とない子の2種類がいる。
- モチベーションのある子はインターネット環境を与えておけば勝手に学ぶ。
- モチベーションのない子はモチベーションのある子と同じグループで活動することで自分の役割を見つけて学んでいく。
- つまり、教育に大人(先生)はいらない。大人は環境を作って子供たちに提供する役割を負えばよい。
- 人間はロボットのこと信頼する。
- 子供はロボットが大好きでロボットの言うことはだいたい何でも聞く。
- 大人でも人間の店員に薦められるよりロボットに何かを薦められる方が受け入れやすいことが多い。
- 人に何かを薦められると「押し付けられている」感が生まれたり、断るのが申し訳なくなったりする。
- ロボットに薦められるとそのような感覚はあまりなく、断るのも楽。
- お店で人間に勧められるより、ロボットに勧められる方がものを買う(高島屋での実践例がある)
- 自動販売機のお釣りは数えないけど、店員が渡すお釣りは数えなおすのも、同じ。人間は人間を信頼してない。
- 小学生ぐらいの子供が感じる「人」に対する疑問は未だに難しい問題であることが多く、大切な疑問である
- 「人の気持ちを考えるとはどういうことか」「大人になるとはどういうことか」「なぜ大人は知ったかぶりをするのか」
- 大人は「人の気持ちを考えなさい」という。そんなん無理。
- 「気持ち」とは何か「考える」とは何か、誰も答えられない。なのに、大人はそれをやれという。だから僕は大人になれずに今に至る(半分冗談)。
- 子供の頃の疑問を持ち続けることが大切。
- 今後ロボットに感情を持たせる上で、まずは「欲求」を持たせることが必要となってくる。
- 「私は自分に価値があるのかが分からない」ということについて
- 人の命に絶対的な価値はない、価値を探すことが人生。価値がわかっているのなら、働く必要がなくなる。
- あなたの夢はなんですか?という質問はナンセンス。
- 夢は増えていくもの、学べば学んだ分だけ夢は増えていく。夢が何かよりもどれだけ夢が増えたかの方が大切。
- 夢が増えてないやつは能力が増えてないだけ。
- 「私は○○の専門家です」というやつは頭が悪い。
- 専門家というのは既存の分野のことを知っているだけのこと、「私はそれしかやりません」と言っているだけ。
- 新しいものとは、まだ誰もみていないもの。
- 新しいもの作り出すこと、クリエイティビティというのは、専門と専門の間にある。
- 理系と文系とか意味がない。私は理系ですという学生がいたら、文系の勉強をやらせた方がいい。
- 私は○○だから、とかいう分類に意味がない。
所感
石黒先生の話はいつ聴いても面白い。ロボット開発の方なので、技術よりの話をするとイメージされる方も多いと思いますが、結構哲学的な話も多く、お話の中でも「哲学を学ぶべき」とおっしゃっています。大人は子供が学ぶ環境づくりをすれば、あとは勝手に学ぶというところが、CoderDojoとも繋がるところでとても嬉しかったです。
「すべてのビジネスは対象人zである」まったく同感です。製品やサービスは作る人と使う人をつなぐコミュニケーション媒体だと私は考えてます。そのコミュニケーションがうまく行った時にビジネスは成功し、そうでない時に失敗する。この製品(サービス)はダメだなと思った時、それはその製品(サービス)がダメなのではなくてそれを作った人とのコミュニケーションがうまくいかなかったのだと考えた方が良い。作り手は使い手のことを常に考えてモノ(サービスを含めて)を作らなければならないと思います。
ロボットが英会話学習に向いているというのも、全く同じ理由でそう思ってます。これは、こないだ行ったある展示会でもユニボの担当の方に話したぐらいです。
他にも色々感じたことはあるけど、割愛します。 ;)
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