働き方改革したかったら、ラストオーダーを決めましょう

またまた、最近見たニュースの話です。

勤務時間中に昼食用弁当をレンジでチン 大阪市水道局が60代男性職員を処分 約1年間で188回 「お弁当を温めている」と内部通報あり調査(ABCニュース) - Yahoo!ニュース

この記事にアクセスしたタイミングによってはリンク先の記事が読めないかもしれないので要約すると、大阪市水道局の方が勤務時間中(お昼休みの前)に昼食用の弁当をレンジで温めていたことが発覚し、処分されたというものです。

この記事で私がひっかかったのは、ここ。

また男性職員はおととし4月から去年1月までの間、毎日のように終業時間の約30分前に自身のノートパソコンの電源を落とし、5分前には帰宅の準備をする行動を繰り返していて、上司から注意を受けていました。

これの何がダメなんだろう?ということ。これが注意されるなら働き方改革が進まないわけだ。

私がDXや働き方改革を支援している行政機関でも

「定時で帰りを進めたいのなら、ラストオーダーを決めないといけない」

ということを提案しています。 これは、「メールは退勤の30分前までしかみないもしくは退勤予定時刻の30分以内に受け取ったものへの返信や対応については、翌日以降にする」ということです。

もちろん、メールという手段の問題ではないので、それがチャットでも口頭でもなんでも同じ。要は退社する時間の前に最後の一仕事をする時間を確保するという意味です。

レストランや居酒屋で閉店時間ギリギリまでオーダーを受け付けているところなんてないですよね。そんなことしてたらいつまで経っても店を閉められない。あれと同じです。

今は少なくなったけど、工場の生産ラインなんかはその日の生産数とか目標を見ながら着地点を決めて日々のやることを決めていく。部品が欠品でモノが流れなければラインの整理とか。で定時になったらきっちり帰る、それでいい。

仕事って全部が全部PCを使うわけじゃないと思うので、必要ないのであればシャットダウンしておけばいい。残りの30分はPCを使わない仕事をすると計画的にやっているのなら全然問題ない。

働き方改革をしたいなら、あなたの仕事のラストオーダーを決めましょう。

追記

こちらの件、SNSに投稿したところ以下のコメントをいただきましたので、追記しておきます。

いただいたコメント

私のコメント

みなさん、コメントありがとうございます。書き出したら結構長くなったし、ちゃんとまとまってないかもしれませんがコメントしておきます。こんなSNSの片隅に書いても何も変わらないことも理解しています。

法律で決まっていることも、一定数ちゃんと仕事していないやつがいることもおっしゃる通りです。それは行政機関であっても民間企業であっても同じかなと思います。 以下、ネット上の誰かが言っている話ではなく私が(たったの)3年弱行政機関の内側で見た結果の話です。

ご指摘のとおり、ちゃんと仕事をしないやつがいるというのはその通りらしく(私が直接みたわけではありませんという意味で)色んなルールが「ちゃんとしてないやつ」を基準に決められています。

そのルールがごくごく当たり前のことならいいのですが「ここまで決めないとダメ?」と思うようなものもあります。

また、多くの職員は真面目に仕事してます、これも事実です。こういった人が前述のルールに縛られてやりにくくなっているのが現場の実態と私は認識しています。 そういった縛りを生んでいる理由として法律だけではなく世間の目が今は大きいと感じています。たとえば、今は行政でもリモートワークやモバイルワークが導入されようとしていますが、いつも問題になるのは「サボっていると思われるのでは?そう思った一般の人が苦情を入れてくるのでは?」ということ。

当然ながら苦情が増えると行政としては手間が増えるのでそういう意味でも避けたいので、どうしても厳しいルールとなり結果「それで誰がやる?」みたいなことになりがちです(あくまでも一例です)。なので、こういう記事の内容が一人歩きするのは本当に困ると私は思っています。


話は変わりますが、今の自治体職員の1日の所定労働時間は7時間45分とお昼休みが45分に設定されています。他にも同じような勤務形態の自治体は多いのではないかと思います。

この勤務形態の職員が定時内に仕事が終わらずあと20分必要となった場合、その職員は実際には35分残らないといけないということになります。8時間以上の労働になる場合は1時間の休憩を与えないといけないという法律があり、お昼休み45分で8時間以上労働すると休憩時間が15分足りないという状況になるからです。

つまり、たった5分のために15分余計に残らないということに「法律上」なるわけです。これも民間企業でも同じはず。

この「たった5分」のための余計な15分を産まないためにはそこに向けた業務の段取りが必要。その基準が定時から15分たったところに設定するのか定時に設定するのかの違いだと考えています。

とはいえ、それでも毎日定時きっかりに帰れるわけではないので定時で帰るつもりでも多少のオーバーランはある。であれば業務終わりの着地点を定時に設定しておけば15分のバッファがありますよね。で、実際定時を5分超えたからといって残業を申請する人はほぼいないのです(というか、そもそも定時というのは業務の終了目標だったはず)。

この話を聞いて5分ぐらいいいじゃないか、と考える人もいるかもしれません。でも、それってこの記事の人がやってる「帰宅準備5分」と何が違うのかというのが私にはわからないのです。なぜ定時前の5分には厳しくて定時後の5分はどうでもいいのか。そっちは25%増しになるのに。 (その5分が帰宅準備なのか翌日の業務の準備なのかはその人の仕事の進め方によって違いますし受け取る印象も違いますよね)

この話、明確な答えはなくて「現場で都度判断してやれば良い」のでは?と私は考えているし、多くの職場ではそうなんじゃないのかなと思うのです。ここの認識が違ってたらごめんなさい、お前と違って私らは日本国民として日本の法律に従ってやってるぞ!というのであれば、平にお詫びします。

なので、現場のことは現場の判断に任せて欲しいのです。総じて、行政職員はそれ以外の人よりも遵法意識は高いと思います(私の感覚です)。市民として行政のやってることに不備があればそれはどんどん指摘すれば良いと思います。終業前の30分間をどう使っていようが私たちには関係なくないですか?

その日の仕事の終わりに向けてどう進めるかというのはそれぞれにあると思うのです、時間になったからパタっと追われる人なんていないのですよね?

おっしゃる通り、この事件の対象の人は「ちゃんとしていないやつ」なのかもしれない、でもそれは現場の関係者にしかわからないし僕らがどうこういうことじゃないと思います。 ただ、本来どうあるべきなんだっけ?ということに照らして、ここで言われていることがすべてのように受け止められることに危険を感じているのです。

繰り返しますが、法律で決まっていることも不真面目なやつがいることも前提として考えないといけないとは理解しています。