エレベーターの開閉ボタン操作性改善案

elevator

エレベーターの開閉ボタン、私もよく押し間違えたり、どっちを押していいのか一瞬判断できなくなることがあります。この操作性の改善に関して自分の考え方を書こうと思っていたのですが、最近同じテーマの記事がいくつか出ていたのでこのタイミングに乗じて書いてみます。

ちなみに、最近見かけた記事というのはこの二つです。

一般的な開閉ボタンの例

エレベーター開閉ボタン

この画像は、一般的なエレベーターの開閉ボタンの写真です。 ボタンの上には縦棒と▲の組み合わせのアイコンがあり、その下に”ひらく”、”とじる”とあります。もしくは”開”“閉”と書いてあるものもあります。

誤解の原因はアイコン

このボタンが誤解される最大の原因はアイコンにある、と考えています。

開閉の向き

このアイコンが示したいものとして、真ん中の棒はドアが閉まった時に合わさる位置であり、▲の向きでドアの動く方向を示しているものと思われます。方向を表しているという意味では理解できるのにとっさにそれが判断出来ないのは、このアイコンから受ける印象ではないかと考えています。

縦棒を中心に見た時に左側のアイコンは棒の周囲にスペースが少なく詰まった印象、右側のアイコンは棒の周囲に空間が空いていて空間的な余裕、つまり開いている感じがしませんか?これが逆の印象を受ける理由だと思うのです。

この辺りは認知心理学の範囲かなと思いますが、私は認知心理学は知りませんのであくまでも私が感じたところです。

ラベルも分かりにくい

アイコンほどの罪は無いにしても、”ひらく”“とじる”とひらがな三文字では消化するのに時間がかかりますし、漢字の”開”“閉”も限りなく似ているのでこれも判断が難しい。

アイコンが分かりにくい時点で勝負は決まっているのですが、ラベルでそれを救うのも難しいのが現状かなと思います。

エレベータードア開閉操作方法の改善案

では、どうすればいいのか? 現状のエレベーターの開閉ボタンの問題点はどちらのボタンを押せばドアがどう動くのか?が想起できない点にあるということがすべてであると思います。 良いユーザーインターフェースの条件の一つとして”良い対応付け”がされていること、というのがあります。

そこで、開閉操作については操作方法を”左右方向に動くレバー”にするのが分かりやすいと考えています。具体的には、

です。身近にあるものに例えていうと、左右方向にだけ動くゲーム機のジョイスティックのようなものです。

ゲーム機のアナログコントローラ

Play Stationのアナログコントローラーを左右方向だけ動くようにし、左右だけなので縦方向に平たい形にしたらいいかな。その方が操作しやすそう。

これが、ドアの左側についていた場合は左に押すと”閉じる”、右に押すと”開く”になります。ドアの右側についていた場合はその逆。これで操作する方向とドアが動く方向が一致するのでかなり分かりやすくなるのではないでしょうか。 もうちょっとイラストっぽくしたかったですけど、↓こういうことです。

開閉操作レバー

操作する対象がレバー一つだけなので、混乱も少ないかなと思います。

実装上の課題

この操作方法ならどう操作すればいいかは分かりやすくなると思うのですが、実際にエレベーターに設置する際には他にも解決しなければならない課題があります。

エレベーターが混雑した場合、そこに出っ張りがあるのは危険です。かといって小さくすると操作がしにくくなる。これがこの操作手段の課題。

これを解決するための方法としては、操作パネルをエレベーター内の壁面よりも少し奥になるように凹みをつけてそこに配置するというやり方が考えられます。もちろん操作しやすいようにスペースの確保は必要かと。そうすると、スペースが確保できるかといった問題も…

実装上の課題はさておき…

まぁ実装上の課題はどんなアイデアにもあると思うので、ここではそこを掘り下げるのはやめておくとして分かりやすい操作方法を提供するという意味では有効なアイデアではないかなと思うのですが、いかがでしょうか?

同じようなことは画面内でも起こっている

エレベーターの開閉ボタンが分かりにくいと思っている方はかなりたくさんいらっしゃるようで、”エレベーター 開閉ボタン わかりにくい“で検索すると同じように思っている方がたくさんいらっしゃるようです。

それを解決するためにボタンのデザインを考えていらっしゃる方もたくさん居るのですが、そもそもボタンでいいのか?というところから掘り下げて行く必要があるんじゃないかなと思います。

これは画面上でGUIを作る時にも言えます。ボタンに機能名のラベルを付けて置いて行くととりあえずの操作は出来るようになりますが、ボタンではなくてチェックボックスの方がよかったり、プルダウンメニューの方がよかったり、その時の操作内容や操作する対象によって適切なUI部品が存在するはず。

どのUI部品を使うか?というところからスタートするべきだと私は考えています。

追記

少し追記します。

閉じると開くの操作にかかる時間の違いについて

レバーで左右に操作するのですが、閉じる時と開く時とで動作が始まる時間に差をつけた方が良いでしょう。

開くが必要な時は緊急で開かなければならないことがあるので操作を始めるとすぐに開き始める。 閉じる操作については誤操作で閉じてしまうことを防ぐため、1〜2秒程度操作レバーを押し続けないと閉じないといった感じになると思います。

ドアの左右で操作する方向が違う点について

ここで提案している操作方法では、ドアの左右の操作パネルで操作する方向と異なることになります。立つ位置によって操作の方向が違うのは混乱を与えるのでは?という懸念もありますね。

私はここはあまり問題にならないかなと思っています。というのも、現在もエレベーターの開閉ボタンの配置は左が開く、右が閉じるになっていることが多いです(標準規格があるわけではないので、メーカー任せですが事実上そのように統一された形になっているようです)。

しかし、そういう慣習を利用者は覚えていないのではないかと思います、だからどっち押せばいいのかその都度迷う。つまりドアの左側に立った時、前に右に立った時にどっちに操作したかを覚えてないことが多いと考えているので、ドアの動く方向と操作の方向を一致させておいた方が、その時に判断しやすいと考えている、ということです。

もちろん、賛否両論あることは承知しています。;-)