選択的別姓に関する議論について私が思うこと

まず、私は結婚した時に姓が選べるようにすることそのものについては賛成の立場です。なので、基本的には「選択的別姓に賛成」と思っていたいだいて構わないのですが、懸念していることが2つほどあります。 なお、現在の議論の内容については、以下の法務省のサイトで読めますのでこちらも合わせてお読みください。

法務省:選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について

選択的別姓賛成派の姿勢

今回(2021年10月)に実施された衆議院議員選挙に合わせて行われた最高裁判所裁判官国民審査において、以下の呼びかけが行われていました。

国民審査 2021 のヤシノミ裁判官リスト

気持ちはわからないではないのですが「現行制度が合憲である」ということと「選択的別姓に反対である」ということは別ではないのでしょうか? 議員のように、明らかに賛成・反対の意思を示しているのならともかく、最高裁の場合は「現行制度が合憲か否か」を問われている者に対して判断をくだしているだけなのです。裁判の判決というのは問われていること、裁判の対象となっていることに対して判断するものであって、それ以外については判決の対象外となります。

これをもって「現行制度を合憲にしたやつは、選択的別姓に反対ということだけしからん!」というのはあまりにも暴力的ではないかと思うのですが、いかがでしょう?

最高裁の判決の中でも、

夫婦別氏を希望する者にこれを可能とするいわゆる選択的夫婦別氏制度について,そのような制度に合理性がないと断ずるものではない,

と言われているわけですし、最高裁が選択的別姓に反対しているわけではないと思うのですが。

もしかすると、私が知らないだけでこれらの裁判官は「選択的別姓に反対」の立場なのかもしれません。もしそうだったらごめんなさい。

でも、自分の意見を聞いてくれないから辞めさせるんだということなのであれば、それはちょっと暴力的ではないかと思うのです。

そもそも、最高裁判所裁判官国民審査って国民の感心が低いし、今までも罷免された例がないので今回騒ぎ立てても罷免される可能性は限りなく低いんですよね。そこをこんな理屈で突いてもなにもメリットがないと思うのですが...。

子どもの姓の選択制度が不十分であること。

もうひとつは、子どもの姓の選択についてです。冒頭に書いたこちらのリンク先を読むと以下のように書かれています。

法務省:選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について

別氏夫婦を認めたときの子どもの氏は,どうなるのですか。

いろいろな考え方がありますが, 平成8年の法制審議会の答申 では,結婚の際に,あらかじめ子どもが名乗るべき氏を決めておくという考え方が採用されており,子どもが複数いるときは,子どもは全員同じ氏を名乗ることとされています。

別氏夫婦の子どもは,いったん決まった氏を変更することはできないのですか。

平成8年の法制審議会の答申 では,別氏夫婦の未成年の子どもが両親の結婚中に自分の氏を両親のいずれか一方の氏に変更するためには,特別の事情の存在と家庭裁判所の許可が必要とされています。また,子どもが成年に達した後は,特別の事情がなくても,家庭裁判所の許可を得れば氏を変更できるとされています。

とあります。子どもの姓について、結婚(もしくは出産でも良いと思いますが)のタイミングで決めておくというのは合理的な考え方だなと思うので異論はありません。 問題は変更についてです。子どもが姓を決めるのには「特別の事情の存在と家庭裁判所の許可が必要」とあります。これは、国際結婚で生まれた子の国籍を成人の時点で選べるように、両親が別氏を選んだ子は無条件に決められるようにした方が良いのでは?と考えています。

そもそも姓って必要?

反対派の意見の中で、以下のようなことが述べられています。

家族が同氏となることで夫婦・家族の一体感が生まれ,子の利益にも資すること

この意見については、私は反対です。家長が絶対的な存在だった時代にはそうだったのかもしれませんが、今はそうではありませんし、むしろそれが足かせになっていることもあります(最近、自分ごととして実感したばかりです)。

今の法律では家族でなければできないこと、家族の問題だから立ち入れないことなど家族にまつわる問題は多くあります。

国の制度としてなんらかの関係性を明らかにする仕組みは必要だとは思いますが、それが「姓」のようなものではなくてもっとシステム的なものでいいのではないか?姓を法律で管理すべきではないのでは?と思います。

戸籍上はIDで管理して、名前は自分で自由に決められる。それでもいいんじゃないかな。異論、反論があるのは承知していますが本気でDXを進めればそれも可能だと思ってます。