「IoT」の集合で実現するウェアラブルコンピューティング
一時は、技適マークを取得し日本国内での販売も間近といわれていたGoogle Glassに、突然の販売終了がアナウンスされました。 ※技適マークとは、日本国内での販売が認められた通信機器に付けられるマークです。
Google Glassは、2012年6月Googleの開発者向け会議「Google I/O」で発表され、2013年6月に開発者向けの販売が開始されました。 一部の先進的な開発者やユーザーには、その目新しさや近未来を感じさせる機能とフォルム、Googleというインターネットの雄ともいうべき企業が開発している点に期待を寄せられていましたが、2年半という長いベータ期間を経て一般向けの製品がリリースされることなく終了しました。 「Google Glass」いったん販売終了、“将来のバージョン”の開発を継続
四半期決算発表の場では、「Google Glassは失敗だった」とのコメントも出されましたが、ウェアラブルデバイスの筆頭的存在であり、Google Glassの未来を信じてコミットした開発者や一般ユーザーも多かったので、Google自身の「失敗」宣言には残念な印象を禁じ得ません。 グーグルが「グラス」失敗認める、将来見据えた投資は継続へ
Google Glassが販売終了となる原因として、法的な問題(無許可撮影)やプライバシー上の懸念(盗撮)が考えられていますが、それよりも重要なのは、日常的な用途を見つけられなかったということではないかと思います。 「Google Glassを日常的に使いたい、Google Glass無しの生活には戻れないと感じさせる用途」という意味、つまりGlassを使うという生活の「原型」を提案できなかったということです。
そういう私も、ウェアラブルデバイスの用途に斬新なアイデアを持っているわけではないのですが、技術的には「単機能の複数のデバイスを連携する機器間インターフェースの標準化」が重要になると考えていて、これにより用途もより広がっていくと考えています。
Google Glassのような眼鏡型、Apple WATCHのような時計型、いずれも入力(操作)と出力(表示)をひとつのデバイスで実現しています。ひとつの製品として考えた時に、入力と出力両方ができるというのは当たり前ですが、小さなデバイスで入力と出力を実現するには、機器の大きさや形状に制約事項も多くなってしまいます。
これを入力専用デバイス、出力専用デバイスなど機能ごとの機器に分け、それらが連携する標準的なルールを作ることで、各部位の装着の負荷を軽くしながら、より柔軟で拡張性の高いウェアラブルコンピューティングを実現できるだろうというわけです。 これは、いわゆる「IoT」(Internet of Things)のイメージに近いのですが、ウェアラブルコンピューティングとは「IoT」の集合体で実現されるものであり、この時「機器間を連携させるインターフェースの標準化」がキーになると考えています。
Googleは、単機能のデバイスを組み合わせてひとつの機能を実現する「Project Ara」も推進していますので、この考え方を取り入れた「IoT」的単機能機器の集合で実現される、新しいGoogle Glassの登場を期待しています。 Project Ara