製品の寿命を考える

日本時間の2014年4月9日、Windows XPのサポートが終了しました。

サポートが終了したからといって、Windows XPのPCが起動できなくなるわけではありません。セキュリティ対策が提供されなくなるため、将来Windows XPが持つ脆弱性が発見されたとしても修正するパッチが提供されず、継続して使うことが危険な状態になる。つまり実質的に使えない、というわけです。

Windows XPが発売されてから足掛け13年、本来ならとっくにサポートを終了していてもおかしくないのですが、市場に対する影響の大きさからサポートを延長してきたMicrosoftには敬意を表したい気持ちです。

ハードウェア製品の寿命

話は変わりますが、20年以上前に製造された製品に発火の可能性がある、などとしてメーカーが修理や回収を実施するケースが稀にあり、これにも似たようなところがあると思っています。

自分の感覚で言えば、20年も使えば十分製品寿命はまっとうしていると思うので、メーカーに回収責任はないものと思いますし、そこまでしなければならないのか? というのが正直なところ。

一般的に、補修部品を確保する期間は製造終了後から8年間とされていますので、10年ぐらいは責任の範囲なのかもしれませんが、20年、30年になるとその時の製品の状態まで考えて保証するのは難しい。であれば、例え問題なく使えていたとしても、一定の年数が経過すればそれは使わないようにすべきなのではないかなと思います。

もちろん、20年使い続けられることを考えて製品を作ることは不可能ではないかもしれません。ただし、そこまでを保証するのであれば、設計方法や部品や素材の選定、品質保証の方法を従来と変えなければならず、大幅なコストアップ、製品価格の上昇となり現実的ではないのです。

サポートのコストはゼロじゃない

Windows XPの場合、本来のサポート期間を5年間延長しましたので、5年分の人員確保や設備にかかるコストが発生しています。

これらのコストは、全部Microsoftの持ち出しというわけではなく、他の製品のコストに上乗せされたと考えるのが自然。つまり、Windows XPのサポート費用は、Windows XP以外のMicrosoft製品を使っている方が負っているわけです。

製品の無償修理や回収のケースも同じ。その時は無償でも、そこにかかるコストは他の製品に転嫁されていると考えるべき。つまり、追加コストなしで使えていると思っても、知らず知らずのうちに追加のコストを支払っているものなのです。

古い製品を使い続ける利用者のために、メーカーはサポート体制を維持し、そのコストを消費者全員が負担していると考えれば、メーカーと消費者が製品の寿命に合意することで、過剰なサポートコストをカットし製品の価格を下げることができます。

そして、より新しい製品を安価に利用することができれば、消費者としても幸せなのではないでしょうか。

製品の寿命を定義して売り買いする時代?

製品の寿命が動物と同じように自然にやってきた時代は終わり、メーカーが寿命を定義して、消費者がその寿命と価格を判断してモノを買う、そんな時代になるのでしょうか。何もかもあらかじめ決められなければ、自分で判断して使うこともできない、それはそれで寂しい気もするのですが……。

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photo credit: slimmer_jimmer via photopin cc